Fenderが、Stratocaster(ストラトキャスター)のボディ形状を巡ってYAMAHAに通知書を送ったことが明らかになりました。
このニュースを最初に見たとき、僕も
「なんで今さら?」
と思いました。
ストラトタイプのギターなんて、それこそ何十年も前から世界中のメーカーが作っています。
ところが、以前公開したインドネシア製Fender Standard Seriesの動画についた、あるコメントを読んだ瞬間に考えが変わりました。
「これ、全部つながっているんじゃないか?」
今回はFenderとYAMAHAを巡る問題から、これからギター市場で始まるかもしれない「壮大な社会実験」について、独断と偏見で考えてみたいと思います。
※前半では報道やFenderの発表などで確認できる事実関係を整理します。後半のFenderの戦略・意図については、筆者個人の推測を含む考察です。
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FenderがYAMAHAへ通知書を送付
2026年、ギター業界で大きな話題となっているのが、FenderによるStratocasterのボディ形状を巡る権利行使です。
発端の一つとなったのがドイツでの裁判です。
デュッセルドルフ地方裁判所は、Stratocasterのボディデザインについて、ドイツおよびEUの著作権法上保護される「応用美術」の作品に当たるとの判断を示しました。
Fender自身も2026年3月、この判断を「Stratocasterのボディデザインを保護する画期的な判決」と発表しています。
その後Fenderは複数のメーカーや販売店に対して権利行使を進め、Reutersの報道によると、YAMAHAも2026年5月にFenderから通知書を受け取ったことを認めています。
ただし、YAMAHAは対象となった具体的なモデルについて明らかにしていません。
そのため、
「YAMAHA PACIFICAがアウトになった」
と現時点で断定するのは早いでしょう。
一方で、YAMAHA PACIFICA、Fender Stratocaster、PRS Silver Skyなどを並べてみると、今回の問題がギターユーザーにとって他人事ではないことも分かります。
特にSilver Skyについては……
まあ、これは皆さん実物を見て判断してください(笑)。

でも、なぜ「今さら」なのか?
今回のニュースに対する反応を見ていると、
「他のギターメーカーがかわいそう」
「企業として自社の権利を守るのは当然」
など、さまざまな意見があります。
ただ、僕が一番気になったのは、
「なぜ2026年になって、今さらなのか?」
ということでした。
Stratocasterが誕生したのは1954年。
STタイプと呼ばれるギターも、今や世界中に存在します。
それなのに、なぜ今になって大きく動いたのか。
僕はここが今回の話で一番面白いところだと思っています。
2025年、Fenderは「Standard Series」を投入している
ここで思い出してほしいのが、2025年に登場したFender Standard Seriesです。
Fenderは2025年1月、インドネシア製の新しいStandard Seriesを発表しました。
Standard Stratocasterの価格は599.99ドル。
日本では8万8,000円という価格設定でした。
つまりFender自身が、それまでSquierなどが中心だった比較的手頃な価格帯に「Fender」のロゴを付けた製品を投入してきたわけです。
僕はこのシリーズが出たとき、動画でかなり厳しく評価しました。
なぜなら、この価格帯には強力なライバルが大量に存在するからです。
YAMAHA、Ibanez、G&L、PRS SE、Squier……。
中古まで含めれば、メキシコ製Fenderという選択肢まで出てきます。
だったら、わざわざこれを選ぶ必要があるのか?
というのが当時の僕の意見でした。
ところが今回の件を見て、少し考えが変わりました。
ここからは「独断と偏見」です
ここから先はFenderが公式に発表した戦略ではありません。
僕の完全な推測です。
エンタメとして読んでください。
僕が考えた仮説は非常にシンプルです。
Fender Standard Seriesは、競合するSTタイプが減った後の市場を見越した商品だったのではないか?
というものです。
もし安い「ストラトタイプ」が減ったら?
例えば今後、今回の権利問題の影響によって各メーカーがボディ形状を変更したとします。
もちろん、それだけで各社がSTタイプを作れなくなると決まったわけではありません。
実際、この判断やFenderの権利行使には反発もあり、法的な争いも続いています。
しかし仮に、これまで当たり前のように存在していた「ストラトっぽいギター」が減ったらどうなるでしょうか。
そこで急に存在感を増すのが、
Fender Standard Stratocaster
です。
以前の僕なら、
「このスペックなら他メーカーを買う」
と言っていました。
しかし、その「他メーカー」が同じ形のギターを作れなくなったら?
話は変わってきます。
極端な話、
「ストラトの形が欲しいならFenderを買う」
という市場になる可能性が出てきます。
そう考えると、2025年にFenderブランドの低価格帯を用意したことと、その後のボディ形状を巡る動きが妙にきれいにつながって見えるんですよね。
もちろん、本当にそこまで数年前から計画されていたのかは分かりません。
でも、
「準備は整った」
ようにも見えるわけです。
高級ギターを何本も買う人は少数派
僕のチャンネルを見ていると感覚が麻痺するかもしれませんが、数十万円のギターを何本も買う人間は少数派です。
僕も含めてです(笑)。
ギター市場を考えるうえで重要なのは、むしろ初めてギターを買う人たちでしょう。
Fender自身も過去の調査で、新しくギターを始める人の多くが短期間で演奏をやめる一方、新規プレイヤーの市場規模が非常に大きいことを示してきました。
つまりメーカーにとって、
「最初の一本として何を買ってもらうか」
は非常に重要です。
5万円、8万円、10万円前後。
このあたりの価格帯には、これからギターを始める膨大なユーザーが存在します。
そこにFender Standard Seriesが置かれている。
そう考えると、このシリーズを見る目も少し変わってきます。
そして「壮大な社会実験」が始まる
ここからが、僕が今回一番面白いと思っているところです。
今回の問題によって、
「ギターユーザーは一体何を見てギターを買っているのか?」
が分かるかもしれません。
例えばYAMAHA PACIFICA。
もしPACIFICAが、明日からまったく違うボディ形状になったらどうでしょうか。
それでも初心者はPACIFICAを買うのでしょうか?
YAMAHAだから買う?
スペックが良いから買う?
価格が安いから買う?
それとも、
「ストラトみたいな形だから買っていた」
のでしょうか。
同じことはPRS Silver Skyにも言えます。
もしSilver Skyが、もっとPRSらしい独自のボディ形状になったら、それでも現在と同じように売れるのでしょうか。
逆もあります。
仮にFender Standard Seriesが競合製品よりスペックで劣っていたとしても、
Stratocasterの形をしていて、ヘッドに「Fender」と書いてあれば売れるのか?
これも非常に興味があります。
ユーザーが買っているのは「スペック」なのか「形」なのか「ブランド」なのか
結局、今回の問題が面白いのはここなんですよ。
僕たちはギターを選ぶとき、
- スペック
- 価格
- ブランド
- ボディ形状
- 音
- 弾きやすさ
など、いろいろな理由を挙げます。
しかし実際には、その中の何を一番重視しているのでしょうか。
PACIFICAからストラトらしい形がなくなっても売れるなら、YAMAHAというブランドや製品そのものが評価されていたことになります。
Silver Skyの形が大きく変わって売上が落ちるなら、「PRSだから」だけではなく、あのSタイプのデザインにも大きな商品価値があったということになります。
逆にFender Standard Seriesが伸びれば、
「結局みんなFenderロゴとStratocasterの形が欲しかった」
という可能性もあります。
これはメーカーだけでは答えを出せません。
市場、つまり僕たちユーザーが答えを出すことになります。
だから僕は今回の一連の動きを、
ギターユーザーが何を見てギターを買っているのかを試す「壮大な社会実験」
だと思っています。
あなたは何を理由にギターを選びますか?
最後に皆さんにも聞いてみたいです。
もしYAMAHA PACIFICAを買うとしたら、その理由は何でしょうか。
YAMAHAだから?
スペックが良いから?
コストパフォーマンスが高いから?
それともストラトタイプの形だから?
そして、もし明日からPACIFICAがまったく違うボディ形状になったとしても買いますか?
逆に、インドネシア製Fender StandardがPACIFICAよりスペック面で劣っていたとしても、
「Fender」
というロゴとStratocasterの形があれば、そちらを選びますか?
僕自身、この答えがどうなるのか分かりません。
だからこそ、今後数年間のギター市場をかなり楽しみにしています。
ぜひ皆さんの意見もコメントで教えてください。
今回の内容はYouTubeでも詳しく話していますので、よければ動画もあわせてどうぞ。
■参考&引用ページ
・Fender
https://jp.fender.com/
・PRS
https://www.prsguitars.jp/
・YAMAHA
https://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/guitars_basses/el_guitars/index.html







